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(医)太一会
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能登の山奥からの激励

投稿日: 2023年06月02日

2023年度小太郎漢方製薬『漢方研究』の消夏随筆を掲載します。

極めて手間のかかる生薬調剤を厭わない薬剤師さんの人員を門前薬局で維持することが難しくなり、4月から木曜を休診にするように依頼され、体制の見直しなど煩雑を極めていた初夏。ずっと行きたかった能登の山奥、輪島市与呂見、曹洞宗龍昌寺へ。金沢駅から、バスで2時間半、能登里山空港に近く、金沢駅からは小太郎漢方製薬の美川工場よりずっと遠い。日本の原風景を見るような新緑に映える里山。知り合いの鍼灸師の女性が若い頃、心折れた時にここで癒され、その後しばしば訪問滞在され、彼女から龍昌寺が取り組まれている無農薬米を紹介してもらい、以前から取り寄せているご縁です。このお米は家族も絶賛する美味しさ。この地で自給自足に近い生活を営まれる村田和樹さん遼雲さん親子。和樹さんを慕って東京から移住された方々も。GWに毎年開催される正法眼蔵現成公案の勉強会に2泊3日で初参加。各地、特に東京方面からの常連さんも多く総勢数十人。朝から坐禅と掃除のお勤め、ほっこりする和樹さんの講義を聞き、奥様の地元野菜たっぷりのお料理を美味しくいただき、生ごみは鳥小屋へ。裏では地元の陶芸家の、今時珍しい薪窯で、昼夜火の番をしに集まったテント持参のメンバーが、キャンプファイヤーを囲むかのように楽しまれています。今回は富山からシュタイナー教育に取り組まれているメンバーが、オイリュトミーで現成公案を表現するという画期的な?イベントも開催され、何だか解った気になって、常連さんとも和気藹々。行きの列車で下調べに、道元の弟子、懐奘が書いた、「正法眼蔵随聞記」を読んで、入宋した道元の情熱と、高齢の天童如浄が生涯現役の意気込みで道元を指導した生き様に、宋代の禅宗の興隆を垣間見て、若い頃、禅宗の影響を受けた宋明学を学んだ時の強烈な感動が蘇ります。

この度、和樹さんの弟さん、8年前に東京から故郷に戻り、与呂見で畑仕事をしながら鍼灸師をされている雅哉さんご夫妻ともお話出来ました。自分は70歳になってようやく臨床家として腑に落ちることが多い、あなたも生涯現役の意気込みで頑張りなさい、とのアドバイス。休診日も増えたし、国際情勢で生薬入手が困難にでもなったら、こんな場所でゆっくりする時間があったらなあ、などと考えていた矢先の激励でした。