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(医)太一会
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お墓参りの効能

投稿日: 2013年06月10日

小太郎漢方製薬の夏の随筆集に何か書けと言われて書いた内容です。かなり、トーンは落としているのですが。ご笑読下さい。

蒸し暑くなると、お盆休みが待ち遠しくなるが、年齢を重ねたせいか、最近、お盆やお彼岸にはお墓参りをしないと気がかりになる。

一昨年の正月早々、実家の母が心不全で倒れた。3年前、どう工夫しても漢方がうまく効かなくなり、精査したら心筋梗塞になりかけていてステントを入れた経緯がある。 幸い、満床だったのに夜中に受けてくれた病院があり、助かった。かかりつけの循環器の先生は「年末に来られた時、お母さんの心臓はバクバク動いてましたよ、そんなはずないのになあ」と不思議がられる。ステントを入れている状態だから仕方ない、と思う。

そんな時、吉野の金峯山寺で修業された阿闍梨さんが受診され、「お母さんのご実家のお墓が汚れているから至急、お参りなさい。お宅で祀られている山の神様に不義理をされているからそちらもお参りされたら元気になられますよ」と言われる。母の実家のお墓は、年末にちゃんと主人と参っており、正月早々、まだ花も枯れていないはず。でも念のため行ってみると、その冬は渡り鳥が大発生し、墓石は無残に鳥の糞でドロドロに汚れ、花も抜き取られてひどい有様である。大いに驚き、大急ぎで掃除し、花も入れ替え謝った。山の神様といえば、家業があるので伏見稲荷を祀っている。例年、年末に稲荷山の上まで登るが、その年だけ年末に行けず、初詣の喧噪が終わった頃に行くつもりだった。でも不義理と言われ、大急ぎでお参りした。母は本当に元気になった。

翌年の春、今度は九州の義母が貧血で精査中だと、義姉から連絡があった。以前も、義母は知らぬ間に転倒していたらしく、「急に立たなくて甘えて困る」と義姉が言うので、「お姉さん、出来るだけ早く脳外科にお連れして!」と伝え、幸いに硬膜外血腫とわかり、手術で回復した経緯がある。87歳の高齢だから、その阿闍梨さんに、病気平癒のお護摩をお願いすることにした。すると「お義母さんは腸が悪いです。今年はお義母さんの親ごさんの年忌のはずで、そのご命日が過ぎれば元気になられますよ」と言われる。さすがに義母の両親の命日まで覚えていない。義姉に聞くと、確かに義母の父親の50回忌であった。その後、義母は本当に大腸癌と診断され、高血圧も糖尿もないから手術しますと言われ無事手術を受けた。そして8月半ば、義母の父の命日のお祀りも過ぎた頃、本当に元気になった。福岡の田舎にある義母の両親のお墓参りに行くと、真面目そうな男性が出現して、私に深々と頭を下げて礼をされるのが見えた。義母の父親に間違いないと感じ、古いアルバムを見せてもらうと確かにその人である。50年前に亡くなった父親が、87歳の娘の身体を心配し、大してお役に立っていない孫の嫁に礼に来られるなんて、親の思いはなんと深いことかと感じ入った。

年忌をちゃんとしないと誰かが亡くなるとか、お墓に異変があると病気をするとか、話には聞くが、お墓参りには不思議なご加護がありそうである。